今回は言わずと知れたIT系国家資格「ITパスポート」試験についてお伝えしていきます。
結論、業界未経験でエンジニア転職を考えているのであればITパスポートは取得しておいて損はない!です。
私自身の経験として、転職活動の際に有利になったという程ではありませんが、「お〜iパス取ったんだね」と注目してくれる企業もありました。
開発系のエンジニアであれば転職活動の際に重視されるのはポートフォリオです。
でもIT業界でエンジニアとして働くのであれば、ITパスポートは取得できるレベルの知識は絶対必要です。
そしてそれを証明する簡単な方法が「ITパスポート」を取得することです。
どんな試験で、どのように取得できるのかざっくり解説していきます!
ITパスポートを取得するメリットは?
ITパスポート(略して「iパス」)は、コンピュータやネットワークなどのITに関する
幅広い知識を持っていることを証明する、経済産業省認定の国家資格です。
近年の「AI」、「ビッグデータ」、「IoT」をはじめとするデータ利活用に関連する新技術の進展は、第4次産業革命とも呼ばれ、経済社会に大きな変革をもたらしています。新技術によって創出された新たな製品やサービス等を効果的に活用するためには、社会人としての基礎力として、従来以上にITリテラシーに関する幅広い知識を身に付けることが必要です。(https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html)
iパスが開始されたのは2009年で、累計受験者数は2,039,561人(令和5年現在)、
毎年約20万人ほどが受験して知名度も年々上昇しています。
近年では積極的に社員に取得させようと、資格取得補助などを出している企業も増えてきています。
パソコンに関するハードウェアの知識から、ネットワークやドメインに関する知識、
経営などマネジメントに関する知識やAIなどの最新の技術動向に関する知識など
ITに関する幅広い分野から出題されます。
ITパスポート資格を保有しているとそれだけで「しっかりとしたITリテラシーを持っている人」
という証明になります。
就活や転職の時に周りと差をつけるのにとても役に立つ資格です!
ITパスポートを取得を目指す時に覚えておきたいこと
IT業界で働く人のための資格というわけではない
ITリテラシーを有していることの証明になる「ITパスポート」ですが、受験対象者が「全ての社会人」となっていることからIT業界やエンジニアのための資格というわけではありません。
出題範囲には経営やマーケティング、財務、法務といったコンピュータなどのテクノロジーに関する知識以外も多く問われます。
もちろんIT業界に就職や転職を考えている方であれば保有しておいて損はない資格ですが、あくまでITに関する入門的な資格であることは認識しておく必要があると思います。
資格を取得することで行える「独占業務」はない
「弁護士」や「医師」などのように資格を取得しないとできない独占業務というものは、残念ながらITパスポートには存在しません。
また運転免許証などのように持っていることで「車運転していいよ」みたいに何かの行動を許されるものも存在しません。
じゃああまり資格取得する意味なくね?
と私も本当に最初は思いました(笑)
パスポートというぐらいだから持っているだけで何か専売特許的なものが欲しいというのが正直なところです。
しかしよく考えてみれば今の時代、パソコンやスマホなどを全く使用しない仕事を探す方が難しいぐらい全ての社会人にITリテラシーを求められています。
小学校〜中学校あたりで取得した漢検・英検みたいなものだと思って、社会人である今、またこれから社会人になられる方も挑戦してみてください。
どんな試験なの?
試験内容
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問(*1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度 マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点 分野別評価点 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式(*2) 受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。 |
試験会場に行って、パソコンを使用して解答を入力する形式の試験です。メモ用紙・ホワイトボードなどは配布されるのでメモや計算は手書きでできます。
注意していただきたいのは、合格基準についてです。
1000点中600点取ればいいのでざっくり6割ぐらい正解できればいい、ということではありません。
問題によって配点が異なっているので1問1点でないのと、分野別評価点で300点(3割ほど)が及第点になります。
全分野まんべんなく知識を身につける必要があるということですね。(例年の合格率は約50%と数ある資格の中では合格率は高い方=取得しやすいらしいです)
受験料は7,500円(税込)で、全国47都道府県でほぼ毎週開催されています。なので仮に不合格だったとしても1週間後にまたチャレンジできます!
受験料が高いのでできれば一発合格を目指したいところですね。
どんな問題が出題されるの?
出題範囲
分野 | 大分類 | 中分類 | ||
1 | 企業と法務 | 1 | 企業活動 | |
2 | 法務 | |||
2 | 経営戦略 | 3 | 経営戦略マネジメント | |
4 | 技術戦略マネジメント | |||
5 | ビジネスインダストリ | |||
3 | システム戦略 | 6 | システム戦略 | |
7 | システム企画 | |||
4 | 開発技術 | 8 | システム開発技術 | |
9 | ソフトウェア開発管理技術 | |||
5 | プロジェクトマネジメント | 10 | プロジェクトマネジメント | |
6 | サービスマネジメント | 11 | サービスマネジメント | |
12 | システム監査 | |||
7 | 基礎理論 | 13 | 基礎理論 | |
14 | アルゴリズムとプログラミング | |||
8 | コンピュータシステム | 15 | コンピュータ構成要素 | |
16 | システム構成要素 | |||
17 | ソフトウェア | |||
18 | ハードウェア | |||
9 | 技術要素 | 19 | 情報デザイン | |
20 | 情報メディア | |||
21 | データベース | |||
22 | ネットワーク | |||
23 | セキュリティ |
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html
例えば以下のような問題が出題されます。
例題①:品質に関する組織やプロセスの運営管理を標準化し、マネジメントの質や効率の向上を目的とした方策として、適切なものはどれか? 令和6年度公開問題より
ア ISMSの導入
イ ISO 9001の導入
ウ ITILの導入
エ プライバシーマークの取得
例題②:配列に格納されているデータを探索するときの、探索アルゴリズムに関する記述のうち、適切なものはどれか。令和5年春期
ア 2分探索法は、探索対象となる配列の先頭の要素から順に探索する
イ 線形探索法で探索するのに必要な計算量は、探索対象となる配列の要素数に比例する
ウ 線形探索法を用いるためには、探索対象となる配列の要素は要素の値で昇順または降順にソートされている必要がある
エ 探索対象となる配列が同一であれば、探索に必要な計算量は探索する値によらず、2分探索法が線形探索法よりも少ない
とこんな感じの選択式で問題が出題されます。普通にちょっと難しくないですか?英語の横文字や「配列」「探索」などのプログラミング的な知識も要求されます。
私はまだカフェで働いていた時にITパスポートを受験したのですが、最初はマジで1問も解けないレベルで分からなかったです。なのにGoogle検索のサジェストで「ITパスポート 意味ない」が目に入って超モチベーション下がりました。
あ、ちなみに↑例題の正解は①がイ、②もイです。
全ての社会人向け、合格率50%とはよく言ったもので、ちゃんと勉強しないと普通に落ちます(笑)
私立大学文系出身で仕事であまりパソコンを使ってこなかった私のような方は結構気合い入れて勉強する必要はあると思います。
どうやって勉強するの?
ITパスポートの勉強時間の目安は100時間〜200時間ほどと言われています。ですが、コンピュータ関連の知識を使う仕事をしていたり、経理、マーケティングなどを行なっている方にとっては業務の知識を活かせる分野があるので50時間ぐらいでも問題ないと思います!
カフェ店員時代の私のようにパソコンほぼ使わない職業の方であればしっかり勉強する必要はあります。
- 過去問題解きまくる(直近数年の問題を満点になるまで繰り返す)
- ITパスポート関連の参考書を読む
書店に行くと様々な参考書が置いてありますので自分に合ったものを探してみてください。無料で活用できるものとして、こちらのサイトがおすすめです!
ITパスポートに挑戦してみよう!
エンジニア転職を考えていてもいなくても、資格を取得する過程で学べることは想像以上にたくさんあると思っています。
とっつきにくい問題や用語は多いですが取得できたときは高校受験や大学受験に受かった時ぐらい嬉しいものです。
今回は試験の概要についてざっくりと解説しましたが、またどこかで詳しい勉強方法についても触れていきたいと思います。